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 今月は食欲の秋に合わせてニョッキのお話です。
先日参加した食事会で、40代の男性と行ってみたい国のお話になった時の事。その方は「ムーミンに会いにフィンランドへ行ってみたい!」と真剣に語って下さいました。立派な紳士で忙しい毎日を送っていらっしゃる様子。お嬢様が大学生との事でしたから、私より遥かに人生経験豊富なはず。そんな方が幼い時に見たアニメの主人公を訪ねてフィンランドへ行きたいなんて!まるで少年の夢を聞くようで、そこには、ほのぼのと優しい気持ちになった私がいました。

ムーミンとニョロニョロ

そして、その時、私は初めてニヨッキを食べた時のことを思い出していたのです。それをお話したかったけれど、フィンランドから突然ニョッキなんて、初対面の方に唐突な気がして、お伝え出来ませんでした。

それは16年前、生活を始めたばかりのフィレンツェのオステリア(食堂)でのことでした。イタリア人のホストの方がプリモピアットについて説明をしてくれました。その中で私の興味を引いたのが「ニョッキ」という可愛い響きの言葉でした。


トマトソースのニョッキ
初めて聞いた料理名。実はその名前から浮んできたのが、私も子供の頃好きだったムーミンのアニメでした。「ムーミンって妖精なんだよね。ニョロニョロってかわいいお化けがいたよなぁ〜。ムーミン一家が食べるパスタなのかしら?」そしてお皿に乗ってきたのは、ニョロニョロを小さくしたようなポテトニョッキ。バジル入りのトマトソースと合わせていました。 口当たりがツルリとしてアルデンテのパスタとは全く別物でした。滑らかな喉ごしは、初めて食べたのに何だかとても素朴で懐かしい味わい。子供の頃、祖母が作ってくれたスイトンのみたい。母が作ってくれた白玉みたい。そんな思いが、異国での緊張感を解きほぐしてくれたのでした。私が初めてもらったニョッキの不思議な力でした。

ニョッキは火を通したジャガイモ・カボチャに、小麦粉を混ぜて作ります。
科学的に言うとα-デンプンとβ-デンプンと呼ばれる、2種類の違う状態のデンプンが出会い、独特な食感が生まれるのです。日常の食材で、特別な道具もいらず作れるニョッキは、家庭料理の定番です。

ニョッキの作り方はこちら。

4種類のチーズソースのニョッキ
ソースもトマト・クリーム・ジェノベーゼ・チーズと様々なソースに合います。 私のお気に入りはポテトニョッキにほうれん草を練りこんで、ゴルゴンゾーラ・タレッジョ・パルミジャーノ・フォンティーナの4種類のチーズを溶かしたソースと合わせた物です。ワインはすっきりした酸味のある白、GAVI(ガビ)を合わせてはいかがでしょうか?

ローマ郊外に住むイタリア人の親友ナータ に聞いたお話です。
彼女に手作りニョッキをご馳走になったことがありました。そのニョッキはノンナ(おばあちゃん)からの直伝で得意料理だったそうです。 宗教上、お肉・お魚が食べられない木曜日は決まってニョッキをノンナが作り、大家族で食卓を囲んだんだとか…。ムーミン一家のようなお食事風景だったのでしょうか。彼女が作り語る「ニョッキ」にも、思い出すと子供に戻れる不思議な力に溢れているようでした。


ゴッドファーザーの
ワンシーン
そういえば映画の中には悲しいニョッキもありました。
ゴットファーザー?で、アンディ ガルシアとソフィア コッポラがキッチンで愛を確かめ合う場面覚えていますか?二人で手を絡ませながらニョッキを作る甘美なシーン。「決して許されないふたりの恋」子供の頃はニヨッキを一緒に無邪気に食べていたはずなのに…。「何故大人になってしまったの?こんなに愛し合っているのに、何故結ばれないの?」

そんな思いで悲しい運命と共に噛みしめるニョッキの味は、きっと切ない味がしたでしょうね。思い出すと胸が詰まりそうです。

今度フィンランドに憧れているあの紳士にお目にかかる機会があったら、是非プリモピアットに、ポテトニョッキをトマトソースにバジル、そしてクリームにセージで風味を付けた2色ソースでお勧めしたいと思っています。

普段着のワイン、ローマのフラスカーティーと共に.。イタリアンカラーと素朴な味が、毎日の忙しさを忘れて彼の心を癒してくれるはずです。

ローマのフラスカーティ


もしかしたらムーミンにますます会いたくなって、心はムーミン谷の妖精のもとに飛んで行ってしまうかも。ひょっとして本当に旅に出てしまったりして…。ニョッキが大人のメルヘンを実現してくれるのではないかしら?

イタリアンカラーの
2色のニョッキ

素朴なイタリア家庭料理 ニョッキには、日常生活から開放されて、大人を幼い頃に戻してくれるそんな不思議な力があると思うのです。 皆さんも、深まる秋に子供の頃を思い出しながら一度は試してみて下さいね。
By kayano Sakagami 

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