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最近、日本のイタリアンレストランで自家製パンを出す所が多くなりました。フォッカチャチャバッタのようなシンプルなパネ(パン)です。 ラフォンテでも昨年の夏頃からイタリアで習った配合で焼き、レッスンの時に添えるようになりました。材料は小麦粉・水・塩・イースト・少量のオリーブオイルのみです。初めはテストのつもりだったのですが、生徒さんからの評判は上々で、半年間怠けずに続いています。と言う事で、今月と来月はイタリアのパネのお話です。

イタリアの食事はパスタの存在が大きいせいか、同じ粉を主原料にするパネはあまり注目されていない気がします。パスタもさる事ながら、同じくらい地方性が出るのがパネです。

以前は電車の旅が多かった私は、イタリアへ行くと必ずローマに入り1泊しました。次の日の朝食には、バラ をかたどったロゼッタという名のパンが必ず出ます。それを味わうと「あ〜イタリアに来たんだ!」っと思ったものです。中が空洞で外側のパリパリ感はジャムやチョコレートペーストのようなドルチェ(甘味)にもチーズやサラミなどのサラート(塩味)にも合います。組み合わせを変えれば2〜3個軽く食べられます。

他にも、ナポレオンの小枝と呼ばれるトリノのグリッシーニ、今では日本でお馴染みのリグーリアのフォッカチャ、ロゼッタに似たミラノのミケッタ、トスカーナの塩無しのパネショッコ、プ−リアのパネプリエーゼやスナックのようなタラッリ、シチリアのゴマパン、サルデニアの薄焼きのカラザウ、白い小麦が貴重なアルプス近郊では黒パンも見かけました。

このようにパネは地方性が豊かに出ている物ばかりで、それぞれの土地の食文化の深さを感じさせてくれるのです。 そして、どのパネも日本のパンの様に形や焼き色が均一なわけではありません。ふかふかの弾力感のあるものにもあまりお目にかかれません。イタ リアのパネは不格好で噛む程味わいのある素朴な物ばかりです。ただ、その地方の郷土料理との相性は抜群で、脇役でありながら主役のパスタやメイン料理を十二分に引き立ててくれます。

ローマのロゼッタ


トリノのグリッシーニ


サルデニアのカラザウ


ガルバニャーティーで購入したパネ
このように、地方によって味や形、作り方まで全く違い、種類が多いのは、北と南では取れる粉の種類が違う事、古くから都市国家が栄え独自の食文化が栄えた事が影響しています。その数なんと3000〜4000種だそうです。私が出会った事のないパネはまだまだありそうですね。

イタリアでレストランに入り注文が終ると同時にバスケットに入ったパネを持って来てくれます。グリッシーニ等はあらかじめ席に置いてあるお店もあります。

パネ・エ・コペルトと呼ぶ席料はパネ代も含まれています。アンティパスト(前菜)が運ばれてくるまで、手持ち無沙汰な時はどうしてもこのパンに手が伸びます。すきっ腹に素朴な味わいはひとくち食べると病みつきになってしまいます。その度に同席したイタリア人に言われたもので す。「あまり食べ過ぎないでね。あとの料理が味わえないよ!パネは料理と一緒に食べるものなんだからね。」 皆さんもレストランで美味しい食事をするために、料理を待つ間、パネの食べ過ぎに注意してくださいね。

昨年オープンした六本木ヒルズにミラノの老舗のパネッテリア(パン屋さん)ガルバニャーティーが入っています。創業が1937年と言う事ですから、80年近く人々にパネを提供し続けて来たわけです。帰宅時や外出時にはイタリアを思い出させてくれるパネを求めて、週に数回は立ち寄っています。早く全種類を制覇したいので、ほとんどが各1ヶずつの2〜3種類の購入です。にもかかわらず、それぞれを奇麗な袋に入れて保存袋まで付けてくれます。この前買った切り売りピザなんてロゴ入りの可愛い箱にまで入れてくれました。

一つづつ袋に入れて
保存袋もくれます。


イタリアのパネッテリア
イタリアの街のパネッテリアはと言うと?高級店でない限り、簡単な袋か新聞紙とは言わないまでもわら半紙みたいな紙にささっと包んでくれるだけでした。保存袋なんてもらった事はありません。袋から半分パンを覗かせながら家に帰ったのを覚えています。レストランで仕事をしている時は毎日街のパネッテリアの人が袋にさえ入っていない不揃いのパネを配達してくれていました。過剰包装はともかく、今イタリアのパネに一番近いのは、私にとってはこのガルバニャーティーです。

来月はイタリアで初めてパンを焼いた時のこと、シチリアの田舎でパン屋さんを見学使た時の事、パンを利用した料理についてお話したいと思い ます。


By Kayano Sakagami 

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