イタリア料理教室 ラ フォンテはイタリア料理とイタリアの情報をご提供する料理教室です(東京)
トップ
>
コラム イタリアワイン便り
>ジュースから赤ワインへ
ジュースから赤ワインへ
2006年7月公開
今回はちょっと込入った話ですけど、付き合ってもらえますか? どうしたら、ブドウがワインに変身するかをお伝えしたいのです。
ブドウは、その品種や気候によって異なりますが、北半球だったら8月から11月頃にブドウの実の酸度と糖度を見極めて収穫します。
酸度は、白ワインならではのフレッシュさのために、また赤ワインなら木の樽やボトルの中で熟成させるのに欠かせないものです。
熟す前のブドウ
ブドウを搾って酵母を入れた後、
発酵しているところ
野菜等をお酢に漬けておくと日持ちするのと同じで、酸は保存料としての役目を持っています。
でも、大切なのは糖度です!
この糖がアルコールに変身してぶどうジュースがワインになります。だけど、目の前にお砂糖を置いておくだけでは、何日経ってもアルコールにはなりませんね。
それには、酵母が必要です。酵母は微生物のひとつであり、ブドウの皮に自然に付いています。
ちょっと前までは「選抜培養酵母」という研究室でわざわざ選びぬかれたものを使っていたワイナリーが多かったのですが、有機栽培が流行ってきて、自然に戻ろうという動きが活発になってきた今日、大半の有名どころワイナリーは「自然のブドウの皮に付いている酵母を利用する。」という昔ながらの方法に戻ってきています。
収穫したブドウは、傷がつかないように、小さめのケースに入れ、なるべく短時間でワイナリーに運び込みます。
柄を取り除いたブドウを押しつぶすと、ジュースが出てきます。赤いブドウでも、このジュースは少し色が付いているだけでブドウ色ではありません。
オリ引き(樽移し)
小樽での熟成
でもそのまま皮と一緒に浸しておくと、徐々に色が濃くなっていきます。(これをマセレーションと呼びます)。その間に皮に付いていた酵母はブドウの糖分を食べてアルコールとガスを生み出していきます。(アルコール発酵のことです。)
パン作りのときにイーストを入れて発酵させると、ガスが出てパンが膨らむのと同じ現象です。でもワイン作りのときは、タンクの蓋が開いているのでガスは逃げて行ってしまいます。
酵母とイーストは別物のような気がするかもしれませんが、イーストは英語で酵母という意味なのです。
アルコール度がある程度の高さになると、酵母は死んでしまい、ブドウの中に含まれる糖分の一部がアルコールに変わらず残るので、ワインを飲むとちょっと甘いと思うことがあるわけです。
場合によっては、わざと濾過して、酵母を取り除いてしまい、糖度を残しておくという作り方をすることもあります。
ブドウジュースが、アルコール飲料に変わりました。
昔ながらの
コンクリートのタンク
ワインに空気を送るシステム
このアルコールがあると、動き出すのが、タンニンです。渋柿を食べたときの、あの渋さはタンニンから来るものです。
タンニンは、赤ワインの色、そして熟成のために欠かすことができないものです。タンニンはブドウの皮や種に含まれています。渋柿を焼酎に漬けておくと渋が抜けますが、それと同じで、ブドウジュースのアルコール度が高くなると、ブドウの含まれていたタンニンは液体のほうへ移動を始めます。
簡単ですけど、赤ワインがどのように作られるか理解してもらえたでしょうか?
池田美幸 1986年よりイタリアに在住。 通訳、翻訳、コーディネーターとして活躍中。
農学部出身で、イタリアのソムリエ、チーズテイスターの資格を持ち、イタリアの食文化のエキスパート。 ワインスクールツアーの通訳、サントリーワインカタログのコピーライターの通訳、イタリアソムリエ協会公認、日本人のためのソムリエ資格習得コースの公認通訳等、この分野ならお任せ! ワイナリーやチーズのアトリエ、生ハム工場の訪問等のツアーの企画、イタリアの食に関わる通訳、翻訳、コーディネート承ります。